コラム

《コラム》大手チェーンホテルの落とし穴。

 大手のホテルチェーンが驚異的なベースで軒数を伸ばしていたり、不動産業や鉄道などの異業種のホテル経営が順調に見える今日この頃ですが、それぞれの現場で問題となっていることがスタッフの質の問題です。もちろん、スタッフの質については30年以上前から、といいますか、ホテル業古来の問題でもあるのですが、私が外資系、特にファンドやリートに在籍した経験から問題と感じていることがあります。

 ホテルであれば100軒ホテルがあれば、普通は100人の支配人や総支配人が必要なわけです。30年前の統計と現在の統計で最も数字(軒数)が伸びているのが、ビジネスホテルというカテゴリーのホテルであることはどなたもご存じのことです。ただ、そのビジネスホテルでもそれぞれに支配人がいるものと思っていましたが、最近の大手チェーンホテルには支配人がそれぞれのホテルにいないことも珍しくありません。何軒かの、あるいは何棟かのホテルを統括すると言えば聞こえもいいし、また、私などよりも優秀は支配人が多くいらっしゃるし、本部のマネージメントが優れており複数のホテルの管理もできるような状況なのかもしれません。確かに、私も外資系では数軒のホテルを統括して少なくとも5軒のホテルの総支配人名義の名刺を持っていたことはありました。ただ、その場合の多くはそれぞれに優秀なフロント支配人がいたからこそ可能であったのであって、現状の大手では別も理由による問題が顕在化し始めています。

 それはまさにホテルマンの成長のスピードと軒数の伸びのスピードが合致していないことにもよりますし、従来のような研修制度やOJTですら全く実行しないチェーンホテルの体質の問題でもあります。若い世代のスタッフを多く採用し古手のスタッフを馘首したわけでもありませんが、ビジネスホテル系の大手ホテルチェーンには40代や50代のスタッフが少なく、優秀であるかもしれないがどうしても経験不足なスタッフが多くなってしまい、その中から無理やり支配人やマネージャー職に就かされているスタッフも少なくありません。ベテランがいればいいというものでもありませんが、若手が多く苦情の対処にも苦慮している現場は少なくないと思います。ところが、経営サイドに対しては人件費率が必然的に低くなりますので、経営サイドやオーナーへの報告義務のあるファンドマネージャーのような立場の方には「好材料」となっているわけです。

 特にファンド系やリートであればファンドマネージャーは数字でのみ評価されます。もちろん、いかなる商売であれいかなる立場であれ、ビジネスは数字で評価されます。ただし、現状の大手ファンド系のホテルチェーンでは、それが故に、スタッフの構成を若くしておけばそれだけで人件費率は低く設定し易くなっています。これがファンドマネージャーの半ば能力であるとされるのを見れば、その将来像には?を付けざるを得ません。また、それぞれの若いホテルマンの将来を考えれば、離職率が高い状況も理解できると思います。その分、給与が高ければファンド系ならファンド系、外資なら外資でいいのかもしれませんが、大手チェーン系のホテルには将来が見えず、それだからこそ、独立系のホテルに生きる道があるように思えます。テイクオーバー(ホテルの取得時、あるいは買収時)に古手を馘首するのは常套手段にもなっていますが、それで能力があるとされるファンドマネージャーはやはり一時の株取引の担当者のように、ここ数年、今であれば、オリンピックまでの数字のみを考えておればよく、ホテルの将来にとっては絶望的な存在と言わざるを得ません。立地、知名度、設備投資、どれをとっても独立系のホテルでは太刀打ちできないのかもしれませんが、将来的にはこのような問題から大手が崩壊し、独立系が勝ち残ると予想することは暴挙でしょうか。

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