レストラン

レストランは直営ですか。

レストランの運営とは本当に悩ましいものです。朝食は宿泊の稼働が上がればそれなりに稼げます。ランチは周辺の状況にもよりますが、まあ、適正な金額にすればこれもこれである程度は稼げます。ところが、夜となるとホテルのレストランで成功している例がどれほどあるでしょうか。営業をしない日を設けたり、中華と和食は交互に開けたり、営業時間を調整したり。まことに悩ましい。私の知る限り、ホテルのメインダイニング(これも死語でしょうか)のフレンチで最初に定休日を設けたのはホテルニューオータニ東京の「ラ・トォール・ダルジャン」ではないでしょうか。結果的には社員の公休の消化に役立ったりもしましたが、別のレストランはすべて毎日営業なので、多少の不公平感がスタッフの中にもあったかもしれません。ただ、日曜日に築地が休みである以上、仕入れができないのでお休みという姿勢は寿司店などにもあることですので、最初は私自身も抵抗がありましたが、ある面、いい判断だったと思います。

東京でも中心部を除いては、レストランの夜の売上には苦慮しています。大手のホテルでも山手線の外側になると、入っても一回転。ひどい場合にはノーゲストになるようなレストランもあって、直営である以上、放置もできません。しかしながら、フェアや新商品と言ってもすでにやりつくされた感もあり、大手でも直営レストランの運営には苦労をしています。そこで、大手や歴史のあるホテルではなかなか踏み出せないのが、レストランのアウトソースという考え方です。長年運営してきたわけですし、レストランの運営についてもホテルとしての矜持もあってか、テナントに変更もなかなかできません。これはブライダルも同じです。これについては一部のホテルがブライダル運営会社に営業活動などをアウトソースし始めていますが、歴史のあるホテルほどそう易々とはアウトソースに踏み切れません。

もちろん、ビジネスホテルだからそれが簡単だというわけではありませんが、すでに多くのビジネスホテルではレストランの運営をアウトソースしたり、テナントを誘致したりして、危険負担を軽くしています。確かに、営業効率上、レストランの売上が上がらずそれでも経費は人件費を中心になかなか減らせないという状況下では、それは悪化の一途をたどることになります。その反面、アウトソースすれば少なくとも経費の心配はいらなくなります。契約の内容次第ですが、売上の何%という契約ならば、総売上は落ちますが、その分の経費がなくなることによって、場合によっては営業利益が向上することもあります。またテナントに入ってもらえば、家賃収入だけで構造上、より健全にもなります。現時点でも、多くの大手チェーンホテルではレストランをアウトソースしていますし、場合によっては最初から居酒屋などのテナントを誘致して朝食の営業は条件にはなりますが、ホテルの看板の下に居酒屋の看板も掲げているホテルもあります。

請け負ってくださる企業があればアウトソースすべきかもしれませんが、ホテルの管理の面から見て、確かに楽にはなるのですが、将来的なスタッフの育成ということを考えると、いわゆる宿泊特化型のホテルでは古い意味でのホテルの支配人は育たないと思います。要するに、フロントでの問題、支配人としての問題はすべて宿泊部門だけからくるものになってしまい、レストランの運営という全く違う次元、全く考え方も違うものを勉強する場が失われるからです。設計から宿泊特化型は致し方ないですが、ある程度、レストランや宴会場を持つ規模のホテルであれば、極力、自営・直営で頑張るべきだと思います。

かなり、感情論にもなってしまいますが、レストランの運営は大変ですが、その大変さ、そしてそこから来る面白さを体験できないホテルマンは、失礼ながら、不幸かもしれないと思います。宿泊のお客様とレストランのお客様、これらが明らかに違うことはよくおわかりのことと思います。まして宴会のお客様ともなればさらにバリエーションは増えるわけです。

したがって経営・運営改善としての解答は「イエス」ですが、レストランをアウトソースする危険性というか、それによって招きかねない将来の問題も考えなければなりません。

私も外資系にいた折、レストランの閉鎖とテナント貸しの命を受けたことがありました。ただ、売上が上がれば彼らは何も言いませんでしたので、そのレストラン、コーヒーショップと和食懐石のお店でしたが、売上を上げるためにランチの営業を始めたり、会食のお客様を積極的に営業して取ってきたりして、ホテル全体でレストランの運営に注力して何とか直営を続けたこともありました。

しかし、リーマンショックなどで息切れしてしまい、結局はコーヒーショップは業務委託、和食の店はテナントになってしまいました。ただ、皮肉なことに、というか当然のことですが、現在のほうが私が直営で運営していた時よりも、ホテルの営業利益は増えています。結論としては「イエス」とは申し上げましたが、ぜひ、より慎重にお考えいただきたい問題だと思います。

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