総論

営業をしていますか

大手のホテルや大手のホテルチェーンは組織上、営業部門が存在します。それも細分化されて、日本企業担当・外資系企業担当・エージェント担当・地方担当などなど。最近ではMICE担当の営業マンを置いているホテルもあります。それが羨ましいというお気持ちはわかりますが、営業マンを置けない、あるいは置けても一人なのでとても全部のエリアをカバーできないというような状況でも打開策はあります。それにある意味では普通の営業マンよりも効果がある場合もあるくらいです。その答えは、総支配人(あるいは経営者)による営業です。大手のホテルなどがやっているトップセールスと同じように聞こえるかもしれませんが、大手の場合のトップセールスは大体において「ご挨拶」程度のものであることも多いようです。もちろん、ここぞという時にトップセールスもするでしょうが、我々ビジネスホテルでも違った意味でトップセールスが効果を出すのです。

営業マンが置けないホテルの場合はどうでしょう。各リアル・エージェントからの予約受注や商品造成時のやり取り、ネットエージェントのセールスマンからの情報や「ご指導」、そして顧客自身や顧客企業からの予約と、ほとんどすべてが受け身でただ単に連絡が入るのを待つというような状態に陥っています。そして人員的に専任の営業マンを置けない中で、心ある支配人や総支配人が周辺の企業やその地区のエージェントを回って営業するのが関の山というホテルが大多数なのではないでしょうか。もちろん、闇雲に営業すればいいと言うものでもありませんので、やはりデータが必要です。どこのエージェントからの送客(売上)が多いか。その中でどの地区からの発生が多いか。いわゆるビジネスミックス(予約ソース分析)とエリアミックスがまずあれば、どこに営業に行くべきかがわかってきます。それはあるエリアからの発生が多いというデータばかりでなく、このエリアからもっと発生してもおかしくないということが見えてくるということも重要です。

インバウンドについても東京や大阪ばかりが起点となるツアーばかりでなく、名古屋や博多が到着空港や出発空港になることもあり、それぞれの地にもインバウンドのエージェントが多く存在します。過去のデータで一件でも発生実績があればそれは無限の可能性を意味するかもしれません。仮に発生がなかったとしても、東京・大阪のインバウンドエージェントの担当差ですら自分のホテルの存在を知らないだけということもあるかもしれません。それは名古屋や博多でも同じことです。当然、これはインバウンドに限った話ではありません。ホテルの知名度が低いという致命的な「弱さ」があるのであれば、まずは発生の可能性はあるのに発生のないエリアでその知名度を上げることから始めなければなりません。その場合、普通の(営業マンの方には失礼ですが)営業の方がエージェントなどを新規で訪問するのも意義はあるでしょうが、もし「総支配人」という名刺であったりアポイントのリクエストであれば、エージェントの方もちょっとびっくりするかもしれません。○○という知らないホテルだけど、なぜか総支配人が会いに来ていると感じてくれれば、もうこちらのもの。場合によっては支店長クラスの方が出てきてくださったりでかなりインパクトはあると思います。

大手のホテルなどのトップセールスと違うと申し上げましたが、どちらにしてもトップセールスの強みは料金がその場で決められるということもあります。「一度持ち帰って」とかが必要ないですし、仮に料金表などが提示されていてもボリュームによっては「1000円下げましょう」など、「即決」できることはとても大きなメリットです。これは「普通」の営業マンより役に立つとか立たないということを議論しているのではありません。あくまで営業マンがいないのであるから、いないので致し方なく総支配人が出る。それについてどういうメリットがあるかという話です。私もこれまでずいぶんと優秀な営業マンに助けられてきました。私の能力の足りない部分を補っていただいたり、能力の及ばない分野に長けていたりとある意味営業スタッフには恵まれていました。ただ、それもニューオータニ東京やニューオータニ幕張、ヒルトン成田などの規模の大きなシティホテルや八王子プラザホテルや宇都宮ポートホテルのように宴会場を持つホテルでのことであって、営業マンを置けないホテルであれば総支配人がやるしかないという切羽詰まった話です。

現場にスタッフには現場を守ってもらって、自らが営業に出て仕事を取ってくるという姿勢も、現場のスタッフにとってはいい材料・刺激になると思います。総支配人(別項参照)がロビーでごみを拾う、総支配人がレストランでお客様に挨拶する、そして総支配人が営業に出る。これらは特に小規模のホテルでは総支配人の当たり前の仕事と考えるべきです。その中でも「営業に出る」ことは直接、売上増につながることでもありますので、営業マンを置けないホテルであれば、総支配人自らが営業すべきです。自分に営業経験がないからといってそれを逃げ口上とはせず、自分の給料くらいは自分で稼ぐという古式豊かな口上を敢えて出すまでもありませんが、フロントスタッフばかりに売上の任務を負わせるのでなく、自ら進んで売上向上に寄与すべきです。別に営業の経験がないからと言っても、営業には特別のテクニックが必要とも考えられません。

ただ単に自分のホテルの宣伝をして「使ってください」とお願いするに何の特別なテクニックが必要でしょうか。「しゃべり」の得意・不得意もあるかもしれませんが、エージェントの方々も「しゃべり」に期待しているわけでもありません。しゃべりが不得意としても総支配人の立場で営業すれば、それだけで印象に残ることかもしれませんので、臆せず堂々と営業してみてはいかがでしょうか。私の場合、確かに営業の経験はありましたが、ホテル自体が日本中で認知されている「ニューオータニ」というブランドの傘の下にいたため、とてもぬるま湯的な営業でした。それが認知度がないホテルだと門前払いということもあるかもしれません。

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