総合

損害賠償保険には加盟していますか。

このように言うと大げさに聞こえますが、要はお客様がタバコの焼け焦げをソファに

作ってしまったとか、酔ったあげく嘔吐してカーペットを汚したというような場合にどう対処するかということです。私の経験ではビジネスホテルであってもシティホテルであっても泣き寝入りしている場合もありましたし、また保険が適用できるからことを荒立てないというような姿勢のホテル(ホテルマン)もありました。ただし、宿泊約款に基づいてお客様と宿泊契約を結び(難しく言えば)、客室という商品を提供するわけですからその商品に瑕疵(問題点)があってもいけないし、また同時にその商品は清掃さえすればまた販売できる状態でお客様からお返しいただかないとなりません。ところが、水が出ないとか清掃が不行き届きであったというような場合には「割引しろ」と言われずともお部屋代を半額にしてコンプレを収めましたというようなことは言っても、お客様の責めに帰す自由で損害を受けても全く補償を求めないケースが多いようです。もちろん殊更それに乗じて割引を求める姿勢に問題があるように思われても、実際に品質に問題のある商品を提供したのですからそれはホテル側の契約違反であることは明白です。

ホテル側からどうやって補償するかはホテルや総支配人などの考え方によってもその対処方法はまちまちです(どれがベストということもないかもしれませんが、それについては「権限移譲」の項で述べることにします)。ホテル側に問題があった時は積極的に(?)補償しようとする一方でお客様に問題があった場合には、やはり正々堂々とホテルからも補償を要求すべきです。もちろんその請求には難しい問題もあります。チェックアウト後に清掃担当者などが例えば「焼け焦げ」に気がついてもその焼け焦げがそのお客様によって付けられたものかを厳密に特定することは難しくなります。当該宿泊者が宿泊した前日などのお部屋の状況が写真などで客観的に残っていて前日まではここに焼け焦げがなかったと証明することはほぼ無理です。デジタルカメラの時代になったとはいえ、全部の部屋を清掃後写真に撮っているようなまめなホテルがあるでしょうか。しかし何らかの理由で原因が特定できる場合においては私はお客様に対しても損害賠償を請求し修理費をお支払いただくようにしています。

ただそのお客様との今後を考えるとただ単に損害を補償していただくよりも、損害自体は保険を適用して極力、お客様の負担は小さくしておくほうがいいかもしれません。もちろん悪意による損害であれば言語道断ですが、過失であれば私はいわゆる「休業補償」だけをお願いしています。または保険上、免責があればその金額も含めて請求してもいいと思います。その休業補償も仮に売り止め後毎日が満室状態であれば該当するすべての日数(売り止め日数)分を請求できるかもしれませんが、私はもし満室でない日が何日かあればその分は請求しないようにしています。過失は過失としてもそのお客様との関わりを未来永劫、一切なくすのではなくどこかでまたお客様として帰ってきていただける余地は残すべきだと思います。あえて、売り止め中にこの日とこの日は満室でしたが残りの日については満室にならなかったのでご請求はいたしません、とお話すればまず間違いなくお客様サイドの心象は良くなります。「申し訳ない」というお気持ちがあるところで、「満額請求」や「犯人扱い」をしてお客様自身を追い込み、それこそ「もう二度とここには来ない」と思われるよりは、少しでも「余地」を残せばそれが明日に繋がるかもしれません。

一定の方程式があるわけではありませんが、請求すべきは請求するというスタンスに立った上で、お客様の心象を悪くしないようにした上で補償すべきはきちんと補償していただく。というようなやり取りをすれば将来の売上増に貢献していただくような形で「お返し」があるかもしれません。テクニックと言えばテクニックかもしれませんが、悪意のお客様は*UG扱いしても、過失のお客様に対しては次のように対処するのが私のやり方です。

  • 損害についての事実確認をする。→現場の写真を撮る、お客様立会いで損害を確認する。
  • お客様に責めに帰す事由があることを両者で確認する。
  • ご連絡先を承る(会社には連絡してほしくないという場合もあるので)。
  • 保険会社に連絡する。
  • 修理について見積もりを取る。その金額をお客様に連絡する。
  • 保険の適用が可能となれば、免責の有無を確認する。その結果をお客様に報告する。→保険の適用が可能となったので、つきましては免責金額についてのご負担をお願いする。
  • 修理にかかる日数について休業補償をお願いする。→この場合はラックレートを押し付けるよりそのお客様のお支払になった料金を適用するほうが心象を悪くしない。また、たまたまラックで販売していた場合は平均的な料金なりネット上の最安値で請求しても構いないと思います。また、満室とならなかった日数については請求しないという判断もよいことだと思います。要は心象を悪くしないようにすること。
  • ホテルからの請求金額を連絡し、お支払いただく。

手間がかかることは確実ですので、そこまでしなくてもとのご意見もあるかもしれませんが、そういうお客様が往々にしてその後顧客となったというような逸話はホテルにはよくあります。損害賠償関連でなくとも、何かのコンプレのお客様がそのお話をじっくり聞いてきちんと対処することにより、その後顧客となっていただいたというケースは私にも皆さんにも経験があることだと思います。こと損害賠償について、もしお客様の責めに帰す事由が明白であれば、それを好機と捕えそのお客様を顧客として囲い込める絶好のケースと考えるべきです。

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