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正当な営業利益率とは。

現在では様々な経営形態がホテルにあります。もともとホテル業を生業とする企業がホテルを経営・運営する例は大手ではほとんどなく、金融系・不動産系・電鉄系・異業種系と全く持って様々です。またホテル自体もオペレーション上、シティホテル系・ビジネスホテル系であるとか、フルサービス系・リミテッドサービス系などと大別できるかもしれません。その中で営業利益率はどうあるべきなのでしょうか。もちろん、ビジネスホテル系、いわゆる宿泊特化型が営業利益率でシティホテルを上回ることは昨今では当たり前のように思われていますが、20年以上前にはそれでもシティホテルのほうが売上が大きかったため営業利益率が良かったと思います。同時にビジネスホテルはあまりに安く客室を販売していたがため、営業利益率も低いものでした。その後、シティホテルがブライダルやレストランに苦しみはじめ、ビジネスホテルのオペレーションがより進化したことにより、営業利益率のみならず週刊ホテル&レストランに発表される総売上でも規模の大きなビジネスホテルがトップ100にも入る時代になってきました。

その中で営業利益率についても様々な考え方があって、いわゆる薄利多売に近いものもあれば、ファンド系のように一定の営業利益は必要経費に近い費用まで削減しなければならない背景を持つホテルもあります。私が経験したホテルでも東京にあって規模が150室くらいまでで稼働が95%あり、ADRが1万円をも超えると利益率も「天文学的」数字になります。もちろん古いホテルの原則から言っての天文学的数字ですが、それでも営業利益が7割近い数字になると、ホテルではなくなってしまったように錯覚します。ご存知のように稼働は100%が限界ですが、一時の東京や大阪のようにADRが上がりに上がってこれも天文学的数字になれば、それでも「ほぼ」経費は変わらないので営業利益も天文学的になります。このように混沌とした中で、果たして正当な営業利益率を論じることが意味のあることがわかりませんが、どの背景を持つホテルであってももう制御不能に陥りそうなほど、設定が高くなってきています。

これまでの大雑把なホテル経営では、原価が30%、人件費が30%、その他の費用に10%かかるので、営業利益は30%残るというようないい方がされてきました。もちろん、立地によってはホテルの土地が借地だったり、ホテルのブランドのフランチャイズだったりすれば、さらに費用が嵩みます。営業経費に入る・入らないの議論は別の項に譲るにしても、それらが営業経費となれば営業利益も20%なり15%なりに落ちます。また、ある異業種のホテルは最初から営業利益率を15%としていて、そのために安売りもできるのですが、不必要に人員が多かったり有料にすべきものも無料にしているなど、普通のホテルの常識では考えられないオペレーションをしていて、単純比較も無意味に思えます。一方、あるファンド系のように一非常に高い営業利益を確保するために、ボトム料金の設定がマーケットプライスに対して高すぎたため、結果、稼働を落としその年度は予算を達成できなくなるというジレンマにも陥りました。したがって、立地や歴史や経営者の考え方など様々なファクターがあるため、一概には営業利益率の正当な%は申し上げられませんが、その経営背景のよってかなりの違いの出るのもこの営業利益率だと思います。率が何に対して高いのか低いのかを検証することなく、先ほどの伝統的な数字の30%を持ちされても意味のないことですし、また、30%という数字自体が時代遅れでもあるとも言えるかもしれません。

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