宿泊

ADRはどうやって上げようとしていますか。

よくコンサルティングの方がそのホテルのADRや稼働率を見て「もっと高く売って室料収入を増やしましょう」であるとか、「稼働率を上げて収入を増やさないと」とアドバイスしてくれます。これは本当に中身のないアドバイスで問題はどうやったら「高く売れるか」であり、どうやったら「稼働率が上がるか」です。ただ、私は稼働率というものはホテルの努力で上がるものですが、ADRはそうそう簡単にはホテルの単独の努力では上がらないと考えてています。したがって「どうやったらADRが上がるか」についても明快な答えはないし、そもそも「上がるものではない」と思っているくらいです。
ただ、それでもADRを上げる努力はしないとなりませんので、ここでいくつかの答えをご提供したいと思います。

A) まずは訂正なプライスコントロールです。これはプライスコントロールのところでも述べましたが、適正な販売価格が設定されていない場合、それを適正化すればADRは上がります。
B) ただ、これについては別の側面も考えなければなりません。それはもしあるホテルが不適切に高価格販売をしていて、それはすなわち売上が上がらないという状況になっているような場合で、販売価格を適正化することによりADRが下がる可能性もあるということです。ADR至上主義でいけばこのような設定はあり得ないことになるのですが、結果、稼働が上がって売上増となれば仮にADRが下がっても問題ないわけです。いいかえればそれでやっと身分相応な状態にできるということです。
C) そこで「高く売れる時に高く売る」ことができているかを検証する時に意外と盲点となるのはラックレートです。20~30年前のホテルにとっていい時代には毎年ラックレートを値上げしていました。値上げと言ってもだいたい1000円くらいですが、帝国・オークラ・ニューオータニも揃って(それぞれが腹を探り合って)値上げしていました。オータニの場合、なぜが1月16日に改定していました。このラックレートは現在はほとんど手を付けないようになっていますが、ことビジネスホテルでは無意味に安く設定されている場合があります。もちろん、ラックレートを決めるに当たって決まりきった方程式はないし、仮に新しいホテルであっても建設費などから導き出せるものでもありません。コストを積み上げて売価を決定できる東電が羨ましいですね。また、いつ決まったかもわからないほど長年に渡って同じラックレートを使い、その間プライスコントロールはきちんとしている場合でもなぜかラックレートはそのまま放置されているケースがよくあるようです。もちろん、ラックレートのみの一本勝負のホテルであればこういうご時世ですから値上げできないという理由もわかりますが、プライスコントロールをしつつラックがそのままでは「高く売れる時に高く売れません」。もしかしますと、ADRを上げられる最も簡単で有効な方法がこれかもしれません。

名古屋のビジネスホテル  シングル 12㎡ ラック 8500円
現在              10000円
One Point ホテルのパンフレットには料金表(タリフ)を入れない。
ラックレート表なんて意味なし。

上記の方法論以外にもADRを上げることに成功した事例をお持ちの方も多いかと思いますが、まず経営の立て直しを考えなければならないホテルであれば、第一義的には稼働率のアップを目指すべきでしょう。ADRを上げられると豪語する方もいるかもしれませんが、私の経験では一筋縄ではいかないのがADRだと思います。当然、平均値ですから単純に500円と言っても全体でどのくらいのベースアップがあって成し遂げられるかは私が申すまでもなくそのご苦労は皆さんよくわかっていらっしゃることでしょう。以前、ネットエージェントの営業マンがADRのアップをお手伝いしましょうとおっしゃって1000円相当の商品を500円で下すからその差額分でADRを上げるお手伝いとしたいとおっしゃったことがありました。
この提案ばかりでなく、ある商品について仮に500円アップで販売できる可能性があるとしましょう。その商品が150室のホテルで一日に10部屋売れたとしても、月間のADRが5000円として80%稼働率時では、わずか42円のアップにしかなりません。一日に5室の販売であれば21円です。曜日による波動などがあって販売トータルルームナイト数が下がればさらに小さい上げ幅となります。
したがって、500円アップとはならず、お手伝いには違いがありませんが思ったほどの効果は出ないわけです。アップはアップですのでないがしろにはできませんが、500円ADRを上げるという作業がどれほど大変かがわかる事例かもしれません。
もちろん、私自身も日々、何とかしてADRを上げようと考えていますが、ADRを下げる可能性がある予約であってもルームナイトが稼げて客室売上に大いに貢献できる予約であれば、私は喜んでその予約をいただきます。誰しもADRを高くしたいと考えてはいるわけですが、そして稼働も上がってRevpar も上がれば万々歳です。でもそうならない状況下で何とか利益率を上げようとするならば、総収入により貢献できる「量」を私は取ります。ホテルがある特定の日に高めに売りたいと思っていても、マーケット自体が弱ければそんな思惑は粉々になってしまいます。

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