経費

CAPEXもBSに費用計上されていますか。

CAPEXはいわゆる設備投資であって、長期的な資産改良のための支出のことです。修繕費が短期的な修理・補修に充てるのに反して、ホテルの建物や設備についてその資産価値を損なわないように長期的な視点に立って物品を購入したり交換したり改装することを意味します。会計原則上、改装、家具・備品、建物・施設に仕訳され、想定される総売上額に一定の%をかけて算出します。この数字はPLには載ってきませんが、ホテルの建物や施設を陳腐化させないためにも慎重に使用すべき予算です。
この一定の%というものについては議論の余地があります。PLに乗らないとはいえ、ホテルが稼ぎ出す純利益を使うわけです。また、大きければ大きいほどいいとも簡単に楽観的に言うこともできますがやはり経営的な見地から身の丈に合った適切な数字を求められます。日本系のホテルではこの費用は出たとこ勝負のような色彩があって、修繕費は議論されるのにCAPEXについてはあまり議論されませんでした。会計原則上、そのように仕訳されるとはいえホテルにとっては修繕費も必要ですが、CAPEXも非常に重要です。外資ではこれにとても神経を払い、つまりは資産価値の幻滅に対してとても神経質でCAPEXをどう使うかを必ず年度初めには議論します。ここでの%は3%でした。例えば総売上3億円のホテルであれば、900万円です。もちろん改修費用としては小さすぎます。ただ、大規模改修などはまた別問題として、この費用を的確に使用して資産価値が下がらないようにしっかり改修計画などを立案しなければなりません。たぶんにこの仕訳は税理士さんに聞かないとわからない部分もありますが、いずれにしても考え方として補修費とCAPEXを区別し費用計上するべきです。
リネンやアメニティにはどのくらいの費用をかけていますか。
それは経営管理者が決めることです。これについてもコンサルなどでは適当な数字、場合によっては本当に適当なつまりいい加減な数字を持ち出して、「はい、何%が適当です」と指摘されます。これこそ愚の骨頂。ホテルにはそれぞれ異なった方針があって当たり前ですし、それぞれの経営管理者の方のお考えが反映していないほうがおかしいように感じます。
つまりは自分のホテルをどうしたいか?どういう方向性に持っていくか?どういうお客様が主たるお客様か?どういうお客様を獲得していきたいか?等、さまざまな経営管理者の方針が反映して当たり前です。ただ、%を決めるについての基本的な数値はADRから導きだすべきでしょう。ADRが10000円を超えるホテルと5000円前後のホテルでは同じ%を適用しても金額は大きくことなりますし、ADRが高い分、%を上げてより良いものをセットしようという考え方も成り立ちます。
ファンド系のホテルではこれが本当に厳しく、ADRが6000円でも10000円でも同じ一本10円の歯ブラシが入っています。これも考え方とも言えますが、仮に同じグループでチェーン展開しているホテルであれば難しくはなりますが、人情として倍の金額を払うホテルであれば同じ名称でも少しは違いがあってもいいかもしれません。マクドナルドのようにほぼ全国で同じ料金で同じサービスでハンバーガーを販売するならいいのですが、ホテルの場合、下手をすると同じグループ(同じ名前)でも部屋の大きさも違う場合もあり、すべて同じ料金で提供している場合とは違ってADRが異なれば同じフォーマットでの運営も難しくなります。
基本的には同じチェーン展開であれば料金は異なり部屋のサイズも異なっても、アメニティ類は同じであるべきかもしれません。ただ、先の例のように15000円を払った泊まったホテルの歯ブラシが10円の中国製であれば少なくともCS的には不可のホテルとなってしまうかもしれません。さりとて、ADRの高いホテルに合わせることもできず、全国展開の難しさがこういった局面にも出てきます。ところが独立系のホテルであれば経営管理者の考え方が全面に出るべきなので、仮にADRが5000円でも部屋に生花を一輪置くとするならそれも正しい考え方だし、5000円だから歯ブラシだけしか置かないという考え方も立派に成立します。どのような場合であれ、ADRに対して何%の費用をアメニティに対してかけるか。何%の費用をリネンに対してかけるかは経営管理者の考え方次第です。
私の場合、リネンはなるべくよくしたい。アメニティは「身分相応に」が基本的な考え方です。リネンは肌に触れるものですし、お客様が持ち歩くものでもありませんので、極力いいものを入れたいと思っています。あえて%を述べればそれでもADRに対して3~4%でしょうか。6000円のADRのホテルであれば180円から240円です。これでバスタオル・ハンドタオル・バスマット・ベッドリネンをカバーしなければなりません。もちろんデュベを使用していれば通常のシーツより洗濯代が割高になるので%を圧迫します。したがってデュベがなければ3%あれば4%を基本としています。ただ、そこには地方色もかかわり同じバスタオルの洗濯代でも地方によっては値段に開きもあります。リネン企業が競合しているならいいですが、地元に一社しかないような場合では金額的に高くなってしまう可能性もあります。
アメニティについては最小限のものを部屋にはセットしてブラシ・シャワーキャップなどいくつかについてはフロントに用意だけしておき、部屋にはセットしないようにしているのがADRが低めのホテルでは致し方ないことだと思います。お客様のリクエストに答えられないことではいけないと思いますので、それ以外にもソーイングセットであるとか消臭剤はフロントに備えるだけとしています。そして%はADRの3%を基本にしています。6000円のADRのホテルで一部屋180円です。ただここにはシャンプー・リンス・ボディソープ・ハンド&フェイスソープも含みますし、印刷物(便箋やメモ用紙)も入ります。それで180円を維持するのは難しいため部屋置きアメニティは最小限にしています。また、シャンプー等のブランドも「身分相応」なものに替えています。例をあげると、ポーラ製からDHC製に変更しました。これらによってアメニティ費用に余裕が出たため、スリッパをビニール製から使い捨てタイプに変更できました。
上記の例もあくまで私の考え方ですので、%から部屋置きのアメニティのアイテムの選定をするという前提も別の考え方があって構いませんし、それぞれの経営管理者の方の考え方が反映して構わないと思います。ビジネスホテルにおいて特に難しい問題が「差別化」ということです。どのホテルも同じような値段で同じような部屋の広さ。どちらも駅に近いしということになれば、どうやって他社と差別化するかは本当に難しい問題です。サービスと言ってもどうしてもビジネスホテルでは刹那的になってしまうので、サービスを向上させるのも一概には難しくなります。その点、アメニティやリネンは費用の問題さえクリアできれば差別化のいい材料になります。「どうしても一輪でも花を置きたい」であるとか、「バスタオルは特上の素材のものにしたい」という考えは経営管理者として持っていい、あるいは持つべきものかもしれません。

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